ホテルは客を選べない

ここ数年、シティホテルの敷居がぐっと低くなった。

長いデフレ不況から、インターネットの安売りサイトの出現、デイユースプランの導入などを経て、格安プランにて利用できるようになった。

それに伴い、ホテルの客層も変わった。

一昔前の高級ホテルといえば、料金が高いだけあってそれなりの格式があり、それに見合った人が多かった。

最近では、一人で利用しデリヘルを呼ぶとか、ロビーのソファでペットボトルの水を飲むとか、も珍しくない。

高級ホテルの客層が悪くなった原因の1つ「デイユース」が導入されたことだろう。

日中の客室利用を認めるこの制度は、「高級ホテルのラブホテル化」を招いた。

「デイユース」が出現した当時から、この指摘はあった。

当然といえば当然で、デイユースはまさにラブホテルの「サービスタイム」の考え方。

ホテル側は、デイユース導入当時には「ビジネスマンの休憩需要を取り込む」なんて言っていたが、あるわけない。

勤務時間中にホテルでの睡眠など認める会社は少ないはずだし、会社が認めないならばホテルの料金は個人負担となる。

高級ホテルのデイユース料金は、安いと言っても1万円程度。

普通のサラリーマンが、1万円ものお金を休憩のために使えるはずはない。

そんなことは最初から分かっていたわけで、わざわざお金を払ってまで利用するのはカップルしかないのだ。

ホテル側は
「カップル利用、もしくは風俗嬢との利用と思われる客が増えました。それが悪いとはいいません……。

ただ、私たちが気になるのは、そのカップルが客室をご利用される際のマナーです。」とか。

一昔前の高級ホテルの利用者は、性行為はするもののそれなりのマナーをわきまえていた。

ところが、最近の利用者は、避妊具、男女の体液などがシーツ、ソファにこびりついていることも多い。

さらに、もしくはSMプレイに使用したローソク、ソーププレイに使用したローションの処理には困る。

ローソクも困るが、さらに困るのは排泄物や吐しゃ物を客室内でぶちまける行為である。

こうなると、その部屋はしばらく売れなくなる。

ラブホテルなら許されるということではないが、高級ホテルのラブホテル化は、スタッフには

苦慮する問題だろう。